がけ条例とは【山形】

2026年09月26日

がけ条例

●がけ条例とは?山形で崖の近くに家を建てるときの注意点

傾斜地や造成地の土地、崖の上や下にある家。こうした物件を買ったり、建て替えたりするときに、思わぬ制約となるのが「がけ条例」です。近年は線状降水帯による豪雨で崖崩れへの関心も高まっていますが、がけ条例はそれとは別に「建物を建てるとき」に効いてくるルールです。

これを知らずに土地を購入したり、古い家を解体して建て替えようとすると、「擁壁の工事に数百万円かかる」「思ったような家が建てられない」といった事態になりかねません。この記事では、山形県のがけ条例の具体的な基準を、条文にもとづいて、山形で売買を専門に扱う立場から解説します。

 

●がけ条例とは

がけ条例とは、崖の崩壊から建物や人命を守るために、崖の近くでの建築を制限するルールです。建築基準法にもとづき、各都道府県・自治体が独自に定めています。

山形県の場合、その中身は山形県建築基準条例の第4条の2に定められています。崖の上や下に建物を建てるときは、この条例に適合していることを確認しなければならず、建築確認申請の際には横断図などの図面を添えて示す必要があります。

 

●山形県の「がけ」の定義

まず、どんな崖が対象になるのかを押さえましょう。山形県建築基準条例でいう「がけ」とは、次の両方を満たす土地です。

地表面が水平面に対して30度を超える角度をなす土地

その高さが2メートルを超えるもの

自然の崖だけでなく、造成でつくられたのり面なども、この条件に当てはまれば対象になり得ます。「うちは崖なんてない」と思っていても、宅地の高低差が2メートルを超えていれば該当する可能性があります。

基本ルール:がけの高さの「2倍」の距離を空ける

がけ条例の核心はここです。高さ2メートルを超えるがけに近接して建物を建てる場合、次の距離を確保しなければなりません。

がけの上に建てる建物:がけの下端から

がけの下に建てる建物:がけの上端から

いずれも、そのがけの高さの2倍以上の水平距離を保つ

つまり、がけの高さが3メートルなら6メートル、5メートルなら10メートルを空ける必要がある、ということです。

がけの高さ必要な水平距離(2倍)

・2mを超える〜3m約6mまで

・4m約8m

・5m約10m

この距離の中には、原則として居室のある建物を建てられません。狭い敷地では、建てられる範囲が大きく削られてしまうことになります。

距離が取れないときは「擁壁」などで対応できる

「2倍の距離なんて取れない」という土地も多いはずです。その場合でも、あきらめる必要はありません。

山形県建築基準条例第4条の2では、建築物の用途・規模・構造、または擁壁の構造、またはがけの状況によって、建物の安全上支障がないと認められる場合には、この距離の規定は適用しないとされています。

具体的には、次のような方法があります。

 

●安全な擁壁を設置する

建物のがけ側を鉄筋コンクリート造にするなど、崩壊に耐える構造にする

いずれも、建築士が測量図や断面図をもとに安全性を示し、特定行政庁(県または市の窓口)に確認してもらう流れになります。

山形県独自の「該当しない」判断基準

山形県には、条文とは別に「がけに近接する建築物の判断基準」(昭和62年施行)が公開されており、次のようなケースでは「がけに近接する建築物」として扱わない、とされています。

 

●敷地と崖の位置関係が、底辺と高さが2対1となる斜線の内側に収まっている場合

「がけ尻」から敷地までの水平距離が50メートル以上確保されている場合

自分の土地がこれに当てはまるかどうかは図面での判断が必要なので、建築士や窓口への相談が確実です。

 

●「がけ条例」と「土砂災害警戒区域」は別のもの

よく混同されますが、この2つはまったく別の制度です。両方が同時にかかることもあります。

がけ条例土砂災害警戒区域・特別警戒区域

根拠法建築基準法(県の建築基準条例)土砂災害防止法

何を決める崖の近くに建てるときの建築ルール土砂災害の危険がある区域の指定

効き方建てる位置・距離・擁壁・構造危険周知、レッドは開発・構造規制

「土砂災害警戒区域には入っていないから大丈夫」と思っても、がけ条例には該当する、というケースは十分あり得ます。逆もまた同じです。

 

●不動産売買で見落としやすい落とし穴

がけ条例が関わる物件を売買するときは、次の点に特に注意が必要です。

既存の擁壁に検査済証がない、あるいは大谷石積みや二段擁壁など古い形式の擁壁がある場合、建て替え時に擁壁のやり直しを求められ、多額の費用がかかることがある

「今、家が建っているから、同じように建て替えられる」とは限らない。解体して建て替える際に条例が適用され、擁壁工事や構造の見直しが必要になる場合がある

山形県内でも、この条例の所管は県と5市(山形市・米沢市・鶴岡市・酒田市・天童市)に分かれている。窓口を間違えないよう、建設地の担当を確認することが必要

こうした点は、査定価格や売却のしやすさに直結します。売主側が事前に把握しておかないと、契約後のトラブルにつながりかねません。

該当していても、売れないわけではない

がけ条例に該当する土地でも、擁壁の対応や建物の設計しだいで建築は可能ですし、売買もできます。大切なのは、崖の高さ・勾配・擁壁の状態を正確に調べ、建てられる条件と必要な費用を明らかにしたうえで、適正な価格と売り方を設定することです。

ならびや不動産は、山形県の不動産売買を専門に、がけ条例・再建築不可・土砂災害区域・相続・空き家など、調査や判断が難しい物件のご相談にも対応しています。「うちの土地はがけ条例に該当するのか」「その状態でいくらで売れるのか」——そんな段階からのご相談も歓迎です。

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※本記事は山形県建築基準条例第4条の2および山形県公表の判断基準にもとづき、一般的な情報提供を目的として作成したものです。個別の土地が該当するかどうか、適用除外の可否については、建設地を所管する特定行政庁(県または市の建築担当)や建築士にご確認ください。記載の内容は2026年時点の情報です。