相続土地を国に返す制度とは【山形】

2026年07月03日

相続土地国庫帰属制度

相続した「いらない土地」を国に返せる?相続土地国庫帰属制度をわかりやすく解説【山形】

「親から相続した山林や畑、使い道もないのに固定資産税だけ払い続けている」——そんなお悩みはありませんか。

これまでは、相続財産の中に不要な土地があっても、その土地だけを手放すことはできませんでした。ところが2023年4月に始まった**「相続土地国庫帰属制度」**によって、一定の条件を満たせば、相続した土地を国に引き取ってもらえるようになりました。

ただし、この制度は「タダで、どんな土地でも引き取ってくれる」ものではありません。要件は厳しく、費用もかかります。この記事では、制度の仕組みと注意点、そして山形で土地を持て余している方が本当に得をするための考え方を整理します。

 

1. 相続土地国庫帰属制度とは

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈で取得した土地を、国に引き取ってもらえる(国庫に帰属させる)制度です。2023年(令和5年)4月27日にスタートしました。

背景にあるのは、全国的に深刻化している「所有者不明土地」の問題です。使い道のない土地が放置され、相続登記もされないまま所有者が分からなくなる——こうした事態を防ぐために創設されました。

対象になる人

相続や遺贈で土地を取得した人(遺贈は相続人に対するものに限る)

単独所有の土地はもちろん、共有地も対象(ただし共有者全員での共同申請が必要)

一方、売買や贈与で手に入れた土地は対象外です。あくまで「相続した土地」を手放すための制度である点に注意してください。

 

2. こんな土地は引き取ってもらえない

制度の最大のハードルが、引き取ってもらえる土地の要件が厳しいことです。

そもそも申請できない土地(却下要件)

建物が建っている土地

担保権(抵当権など)や使用収益権が設定されている土地

他人の利用が予定されている土地

土壌汚染がある土地

境界が明らかでない土地・所有権の存否や範囲に争いがある土地

申請はできても承認されない土地(不承認要件)

一定の崖(勾配30度以上かつ高さ5m以上)があり、管理に過分な費用・労力がかかる土地

車両・樹木・工作物など、除去すべき有体物が地上にある土地

除去しなければ管理できない有体物が地下にある土地

隣地所有者との争いを解決しないと管理・処分できない土地

その他、通常の管理・処分に過分な費用・労力がかかる土地

特に重要なのが「建物があると申請できない」という点です。 相続した土地に空き家が建っている場合、自費で解体して更地にしてからでないと申請できません。解体費用は数百万円かかることも珍しくありません。

 

3. かかる費用——「無料で手放せる」わけではない

制度を利用するには、大きく2つの費用がかかります。

① 審査手数料

土地1筆あたり14,000円です。申請時に収入印紙で納めます。

注意すべきは、申請を取り下げても、却下・不承認になっても返還されないこと。要件を満たすか慎重に確認してから申請する必要があります。

② 負担金

審査に通り、承認された場合に納めるお金です。国が代わりに10年間管理する費用として算定されます。

宅地・田・畑:原則として面積にかかわらず20万円(市街化区域など一部は面積に応じて増額)

森林:面積に応じて算定

その他の区分:原則20万円

負担金は、通知が届いた翌日から30日以内に納付が必要で、納付した時点で所有権が国に移ります。

さらに、こんな費用もかかる

上記に加えて、書類取得費、境界確定の測量費、建物があれば解体費、専門家(弁護士・司法書士・行政書士)への依頼費(相場10万〜30万円程度)などが発生することもあります。トータルで見ると、決して安くはないのが実情です。

 

4. 申請の流れと期間

法務局へ事前相談

申請書の作成・提出(対象土地の所在地を管轄する法務局・地方法務局の本局へ)

要件の審査(書面審査+実地調査)

承認・負担金の納付

国庫に帰属(所有権移転登記は国が行う)

審査にはおおむね半年〜1年かかると想定されています。書類作成の代行を依頼できるのは、弁護士・司法書士・行政書士のみです。

 

5. 山形で土地を持て余している方へ——「まず売れないか」を検討

制度が始まって約3年。全国の申請件数は5,000件規模にとどまっており、決して「気軽に使える制度」とは言えません。要件の厳しさや、更地化・境界確定などの費用が、利用のハードルになっているためです。

ここで一度立ち止まって考えたいのが、「国に引き取ってもらう」よりも「売って手放す」ほうが得ではないかという視点です。

国庫帰属制度売却

お金の動き負担金+手数料を支払う売却代金が入る

建物がある場合解体して更地が必須古家付きのまま売れることも

対象相続・遺贈で得た土地のみ制限なし

「山林だから」「田舎の土地だから」「再建築できないから」と売却をあきらめている土地でも、買い手が見つかるケースは少なくありません。国庫帰属で20万円以上を支払う前に、まず「いくらで売れるか」を確認する価値は十分にあります。

なお、空き家を放置したまま管理不全空家・特定空家に指定されると、固定資産税の軽減(住宅用地特例)が外れて税負担が最大6倍になるリスクもあります。「使わない土地・家」は、早く動くほど選択肢が広がります。

 

まとめ

相続土地国庫帰属制度は、

相続した不要な土地を国に引き取ってもらえる制度(2023年4月開始)

ただし建物があると使えず、更地化が必要

審査手数料(1筆14,000円)と負担金(原則20万円〜)がかかる

要件が厳しく、審査に半年〜1年かかる

——という、メリットもハードルもある制度です。手放したい土地があるなら、国庫帰属・売却・活用のどれが最も負担が軽く、手取りが多いかを、土地ごとに比較して判断することが大切です。

ならびや不動産は、山形県の不動産売買を専門に、山林・農地・再建築不可・共有持分など、他社が扱いにくい難しい土地のご相談にも対応しています。「この土地、国に返すしかないと思っていた」という段階でのご相談も歓迎です。

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※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。制度の要件・費用・申請の可否については、管轄の法務局や弁護士・司法書士・行政書士にご確認ください。記載の内容・数値は2026年時点の情報です。